4月13日、ザポリージャ原発4号機が100度以下の「冷温停止」状態になったと、IAEA(国際原子力機関)のグロッシ事務局長が公表。
2021年にロシア軍がウクライナに攻め込むとすぐ、ザポリージャ原発を軍事占領。戦争で原発を他国が奪うのは史上初なので、世界中が驚く中で、ロシア軍は原発につながる送電線を何度も攻撃し、原発を維持する電力不足の危機が続きました。
昨年6月6日、ロシア軍はドニプロ河のカホフカ・ダムを破壊し、欧州最大規模の貯水池が干上がって、それからは原発の冷却水の喪失が心配されました。
核燃料は水に漬けて放射能を弱めながら保管されています。原発を止めても、核燃料は貯水槽で水を沸騰させ続けるので、水の消費量が多いのです。
核燃料が100度以下になると水が沸騰しなくなり、水の心配がなくなった状態に、6基の原発がなったのです。
プーチン「再稼働の計画」
一安心した途端に、新たな危機が発生。プーチン大統領が「ザポリージャ原発を再稼働する計画」と述べたのです。プーチンが「核兵器を使用するぞ」と脅したときは大きく報道されますが、「再稼働の計画」は報道されません。原子炉を起動すると、水の消費量が多くなるので、貯水池の水はすぐなくなり、核燃料は爆発に向かって進みます。つまりプーチンは「原発を爆発させるぞ」と脅しているのです。
ウクライナを含めて、世界中が再稼働に反対しています。
原発の近くにドローン発射台
5月2日、ウクライナの諜報機関は、ロシア軍がザポリージャ原発6号機の近くにドローンの発射台を設置してウクライナを攻撃していると発表しました。ウクライナ軍は、原発から1.5キロ圏内は攻撃しません。それを利用して原発建屋のすぐ近くにドローン基地を造り、原発の上空を飛んでから、ウクライナ攻撃に向かうようにしているのです。
ウクライナ軍は、ドローン基地を攻撃できない上に、ドローンを撃ち落とすのを、ウクライナの住民が住んでいる場所で行わざるを得ないので、苦戦しています。爆弾を積んだドローンが事故を起こして原発に墜落すると、何が起きるかわからないので、危機は今も続いています。(小若)